荒尾梨はなぜこれほど有名になったのか
あなたの好きな果物は何ですか?
リンゴやオレンジ、バナナは季節を問わずいつでも美味しく食べられる果物ですね。
季節限定の旬の果物はいかがでしょうか。
好きな果物ランキングの上位を占めている多くは、実は季節限定の果物です。
それはどんな果物かというと、甘酸っぱくて見た目もかわいいイチゴ
甘い果汁がたっぷりの桃。
そして、シャリシャリ食感と爽やかな果汁が美味しい梨です。
今や梨は全国各地で作られています。千葉県や鳥取などが有名ですね。
作られている品種も様々ですが
その中でも新高(にいたか)という品種の梨をご存知でしょうか。
大ぶりで甘みもたっぷりの梨です。
この新高に古い歴史を持ち
今でも全国から愛されている新高の生産地が九州にあるんです。
荒尾梨の産地として100年以上の歴史を誇る荒尾市
九州のヘソ、熊本県荒尾市は、昔から梨の栽培が盛んに行われている土地です。
その歴史は100年以上前にさかのぼります。
明治時代後半に、荒尾に梨の木が植えつけられることから始まりました。
もともと荒尾は、農業に恵まれた環境でしたので
質の良い農産物を近隣の土地に届けていました。梨もその一つでした。
大正時代になると梨農家が増え
荒尾の梨はさらに多くの人々に食べられるようになります。
荒尾で作られている梨の品種に
豊水(ほうすい)、新高、幸水(こうすい)
秋月(あきづき)、春麗(しゅんれい)などがあります。
これら荒尾で作られた美味しい梨をまとめて、荒尾梨と呼ばれています。
荒尾梨の中でも人気の高い荒尾ジャンボ梨とは
荒尾梨の中でも、見た目も中身も人気の梨が、新高と呼ばれる品種です。
新高の特徴は、何といってもその大きさです。
新高以外の梨の重さが400g前後なのに対し、新高は500~600gもあります。
ギネス記録はなんと3㎏ほどもあるのだとか。
驚くのは重さだけではありません。味も格別です。
白い果肉には、甘さと酸味の絶妙なバランスのとれた果汁がたっぷり。
見栄えする大きさと美味しさから、贈答品としても人気なのです。
贈り物として有名になったのには、もう一つ理由があります。
それは、明治時代のことです。
当時、炭鉱としても栄えていた荒尾市には、炭鉱で働く人々が全国から集まっていました。
炭鉱の人々は故郷への贈り物として、新高を送っていました。
次第に梨を送ることが一つのステータスになり
人々はこぞって梨を送っていました。
ここから一気に新高の名が全国に広まったのです。
荒尾で作られる新高は、その大きさから、荒尾ジャンボ梨と呼ばれています。
荒尾梨を独自の栽培方法で作っている高塚さん
荒尾ジャンボ梨は
昭和期に一気に生産農家が増えたことで多く作られるようになりました。
現在、荒尾の梨農家の数はおよそ150戸ほど。
秋になると直売所をオープンしたり、梨狩り農園を開いたりしています。
梨を作り続けて35年以上の梨農家、高塚成生(たかつか・なりお)さんは
他の農家さんとは違った栽培法で梨を作っています。
それは、農薬を最大限抑え、さらに地面の土にもこだわっているという点です。
高塚さんは、自身のお子さんがアレルギー体質だったこともあり
無農薬の栽培には強い想いがありました。
梨栽培には不可欠とされ、栽培中は20回以上も使用するといわれる農薬。
これを使用せずに、梨を作りたい。
この想いを実現するべく試行錯誤を繰り返し
独自の栽培法を見出しました。農薬の不使用は難しかったのですが
最大限抑えて作ることに成功したのです。
2017年は、農薬不使用で梨を作りました。
安心安全で、味にもこだわった高塚さんの梨は
爽やかで甘酸っぱい果汁とベタつかない後味が好評で
全国から買い求められています。