荒尾梨の木が冬の間に施される土作りとは
![子どもが喜ぶ果物](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/09/nashitaberu820.jpg)
秋の代表的なフルーツ、梨。
口から溢れるほど甘い果汁と、シャリシャリした食感がやみつきになりますよね。
食後のデザートやおやつとして、食べる人が多いことでしょう。
収穫シーズンを過ぎた冬になると、梨の木は休眠期に入ります。
でも、休眠だからといって何もしないというわけではありません。
枝の手入れや土作りをし、次のシーズンに向け準備を行います。
そして春には受粉作業を行い、夏には実がなり、秋に収穫を迎えます。
では具体的に、休眠期にはどんな準備をしているのでしょうか。
荒尾梨が作られる熊本県荒尾市
![荒尾梨マンホール](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2020/01/荒尾マンホール.jpg)
熊本県荒尾市は、梨の産地として100年以上の歴史を誇る
全国でも有数の梨産地です。
毎年秋になると、荒尾市の道路の至るところに多くの直売所がオープンします。
ずらりと並べられた梨を求め、連日多くの客で賑わいます。
荒尾ではおもに、 豊水(ほうすい)、新高(にいだか)
幸水(こうすい)、あきづき、秋麗(しゅうれい)などの品種が作られています。
![成生梨新高ジャンボ梨](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/10/niitaka1909820.jpg)
その中でも、実がとびきり大きく、そして果汁も甘い新高は
荒尾ジャンボ梨と呼ばれ、贈答品としても、とても人気のある品種です。
荒尾梨を作っている高塚さん
![高塚成生の荒尾梨](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/07/takawithnashi.jpg)
深い歴史に育まれた荒尾梨を、農薬を最大限抑えて作っている
希少な農家の方がいます。
その方の名は、高塚成生(たかつか・なりお)さんです。
梨に、農薬は欠かせません。
農薬を使わないと、病害虫が大発生してしまうのです。
しかし、高塚さんは、農薬の使用には健康被害などの懸念を抱いていました。
いくら人体に影響はないと認められているとはいえ
化学物質で作られた農薬自体、決して無害とは言えないものだからです。
![](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/08/seisan_1.jpg)
高塚さんは、自身のお子さんがアレルギー体質だったこともあり
「子どもたちが安心して食べられる梨が作りたい!」
という想いを、農園を継いだ35年前から抱き続けてきました。
その想いを実現するべく、高塚さんは試行錯誤しました。
梨の木を、何本も枯らしてしまうこともありました。
![新高の収穫](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/10/niitaka-harvest820.jpg)
農薬の完全不使用は難しかったのですが
最大限抑えて作る独自の栽培方法を生み出したのです。
荒尾梨栽培で高塚さんが冬の間に行う土作りとは
![成生梨園の土](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/10/takatuka-tuchi820.jpg)
高塚さんの農園は、他所の農園と全く異なった環境を生み出しています。
最大の特徴は、冬期にクヌギの葉を梨の木が植えられている地面に敷き詰め
落葉樹と同じ土壌の環境を作りだしている点です。
梨作りにおいて、土作りは重要なポイントです。
梨は、土の性質によって味に影響が出やすい果物だからです。
そのため、常に新鮮な土壌を保たなければならず、細やかな管理が必要です。
クヌギの葉は、そのまま腐葉土として使用できます。
![梨園の土壌](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/07/timg_5-1.jpg)
腐葉土がどのような役割をしているかというと
農園に降り注いだ雨がこの腐葉土を通り
ミネラルが豊富な“森の雫“となって、梨の瑞々しい果汁を作り出す水分となるのです。
ミネラルをたっぷり含む水はけの良い土壌は
香りの豊かな梨を作るための秘訣でもあります。
![クヌギの葉を敷き詰める成生梨園](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/10/kunugishiki820.jpg)
高塚さんは、冬になると、こうしてクヌギの葉を農園に敷き詰めてゆきます。
![成生梨](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/08/nashi1-820.jpg)
この腐葉土の効果により、肥料を使用しなくとも
梨の木自身が創り出す、梨本来のベタつかない爽やかな後味の美味しい梨ができるのです。