荒尾梨で知られる梨の品種とは?なぜ荒尾で有名になったのか
![成生梨(荒尾梨)](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/08/housuidai.jpg)
梨の全国生産高で7位に位置する熊本県。
熊本県下、各地で栽培されている梨ですが
主な産地として知られているのは、荒尾、竜北、球磨です。
熊本で初めて梨が植えられたのは1905年のこと。
現在の氷川町において、山田熊三郎氏が定植したのが始まりです。
そして、1908年には荒尾において松尾茂三郎氏と関島増男氏が
次いで1912年には球磨において、毎床協造氏が定植したといわれています。
数ある産地の中でも特に荒尾は100年の歴史を誇る産地として
全国的にも有名です。
荒尾は、なぜこんなにも梨の産地として有名になったのでしょうか。
荒尾梨で知られる新高梨生産トップの荒尾
![荒尾干潟](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2020/01/higata2.jpg)
荒尾は、熊本県の北西に位置します。
豊かな自然環境に恵まれ、昔から農業が盛んだった荒尾。
梨が植えられたのは1905年と
他の果樹に比べると、意外と歴史が浅い果物ですが
荒尾の梨の背景には、奥深い歴史があるんです。
荒尾で梨の生産農家が増えるのは大正時代に入ってからですが
荒尾ジャンボ梨で知られる新高梨は、昭和の初めから生産が始まりました。
![伝統の荒尾梨](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/07/mukashinashi-1.jpg)
今では新高梨の全国トップの生産を誇る荒尾ですが
実は、荒尾で生まれた梨ではありません。
新高梨は昭和2年、神奈川の試験場で
新潟県の“天の川”と高知県の“今村秋”という品種を交配して生まれた梨です。
新潟県の“新”、高知県の“高”をとって“新高”という名前になったそうです。
荒尾梨=荒尾ジャンボ梨が有名になった背景は?
![](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2020/07/mandakou820.jpg)
現在、荒尾の新高の生産農家は約150戸
生産高は2000トンと、全国トップです。
なぜこんなにも新高が有名になったのか。
その理由は、炭鉱の歴史も深く関わっています。
荒尾では、明治から昭和にかけ約100年間
炭鉱が大変栄えていました。
炭鉱で働く人々は全国各地から集まり
人々は、故郷の家族に新高梨を送っていたのです。
![](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2020/07/nashiokurimono820.jpg)
その当時、新高梨を送るのは
人々の間で一つのステータスでもあったそうです。
自分には、お抱えの梨農家がいるとか
〇〇個送ったと自慢し、こぞって競い合うように送っていたのだとか。
ここから、荒尾の新高梨の名が一気に広まったのです。
荒尾梨を農薬を最大限抑えて作っている高塚さん
![成生梨(新高梨)](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/10/2019niitaka1-820.jpg)
梨の栽培に、農薬は欠かせません。
農薬をまかなければ、虫が大発生してしまいます。
通常、梨栽培において年20回は農薬をまくといわれています。
農薬は、梨を栽培している間だけではありません。
収穫が終わり、休眠期に入った冬の間も農薬をまくのです。
![高塚さんの土のこだわり](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/10/tuti-takatsuka820.jpg)
しかし、農薬は決して体に良いとはいえません。
虫が寄り付かないのは
虫自身が、身の危険を感じるからでしょう。
そんな農薬使用に疑問を抱き
それまでの農薬使用の梨栽培の常識を覆して
農薬の使用を最大限に抑えて梨を栽培する農家の方がいます。
高塚成生(たかつか・なりお)さんです。
高塚さんは、体に優しい安心安全の梨作りを実現するために
何年もかけて、無農薬栽培に挑戦し続けてきました。
![](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/07/niitakaharvest.jpg)
梨の木を何本も枯らしてしまうこともあり
実現までには困難な道のりを歩んできました。
そして2017年に、完全無農薬の栽培に成功しました。
通常の梨栽培では、甘味を出すために肥料を与えますが
高塚さんは肥料も一切与えません。
![成生梨](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/08/nashi1-820.jpg)
なので、ベタつかない爽やかな甘みが美味しいと評判です。
その昔、故郷の家族も喜んだ荒尾ジャンボ梨は
9月頃から収穫を迎えます。