荒尾梨の木はなぜ生き物たちの楽園になるのか
![鳥の巣](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/09/鳥の巣820.jpg)
冬が終わり、春になると
様々な生き物たちが冬眠から目覚め、活動を始めます。
樹々にも新緑が芽吹き、鳥たちが巣作りを始めますね。
果物の木も休眠から目覚め、葉が生い茂ります。
その後受粉作業が行われ、初夏には実がなりはじめます。
荒尾ジャンボ梨で有名な熊本県荒尾市。
そこで梨農園を営む高塚さんの梨の木には
毎年たくさんの生き物たちがやってきます。
防虫のために農薬などの薬剤が欠かせない果物の木。
なぜこんなにも生き物たちが棲みついているのでしょうか。
荒尾梨の木は春を迎えると生き物たちが棲みつく
![成生梨園でのカエル](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/09/kaeru.jpg)
高塚さんの農園には、春になるとたくさんの生き物がすみつきます。
遠くからでは見つけにくいのですが
梨の木の下に潜り、よく目を凝らして枝や葉を隈なく見ると
鳥の巣を発見します。
![メジロ](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2020/06/nashi-mejiro820-1024x768.jpg)
巣には、小鳥の姿が。居心地が良さそうにしています。
夏になると、昆虫がたくさんやってきます。
クワガタやカマキリ、カエルの姿も見られます。
![成生梨園にいるクワガタ](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/09/kuwagata780.jpg)
鳥や昆虫たちはみな、生き生きと梨の木で暮らしています。
荒尾梨の木にはなぜたくさんの生き物が棲みつくのか
![カブトムシ](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2020/02/kabutomusi820.jpg)
梨の栽培には、農薬が欠かせません。
農薬を使用しなければ虫が大発生し、梨の葉や実に食害を及ぼしたり
病気にかかったりするからです。
でも、高塚さんは農薬の使用を最小限に抑えて梨を栽培しています。
なので、生き物たちにとっては無害な環境なのです。
しかも、こんなにもたくさんの生き物が棲みついても
高塚さんの農園の梨は立派に成長してゆきます。
![高塚成生の梨](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/07/housuiki.jpg)
虫たちが、梨を食べてしまうのではないか…?
そんな疑問もわくと思います。
実際に、葉には大量のアブラムシがわきます。
![アブラムシ](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2020/06/nashi-aburamushi820-1024x768.jpg)
しかし、そのアブラムシを狙って今度はテントウムシがやってきます。
テントウムシはここぞとばかりにアブラムシを食べていきます。
こうして自然とアブラムシはいなくなってゆきます。
虫が虫を食べてくれる。
高塚さんの農園には、一つの生態系が形作られているといえるでしょう。
![高塚さんと梨の木](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2020/03/takatuka820.jpg)
人の手が加えられずとも
こうして生き物たちの生命活動により、梨の木が生かされているんですね。
荒尾梨を作って35年。高塚さんの想い
![](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/08/seisan_1-1.jpg)
高塚さんが農薬を抑えた梨の栽培をするきっかけは
アレルギー体質だった自身のお子さんがいたからでした。
農薬の健康被害が懸念されていた時代。
高塚さんは、子どもたちが安心して食べられる梨を作りたい!
という想いのもと、農薬不使用の栽培を目指したのです。
しかし、農薬を使用せずに梨を育てるのはそう容易ではありませんでした。
何本もの梨の木を枯らしてしまったのです。
![クヌギの葉を敷き詰める成生梨園](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/10/kunugishiki820.jpg)
それでも、あの想いをなんとか実現させたい。
高塚さんは試行錯誤し、長い年月をかけて安心安全な梨を作ることに成功しました。
完全な農薬不使用はやはり難しかったのですが
最大限に抑えた梨の栽培を編み出しました。
しかし、2017年は農薬を一切使わずに梨を育てあげました。
高塚さんの夢がついに叶ったのです。
![高塚成生と荒尾梨](https://kumamoto-natural-fruits.com/wp-content/uploads/2019/07/niitakatakatuka.jpg)
鳥や小さな虫も生き生きと暮らせる。
そんな高塚さんの農園で育った梨は、安心安全だけでなく
糖度も非常に高く、美味しいと評判の梨です。