荒尾梨の木はなぜ生き物たちの楽園になるのか

鳥の巣

冬が終わり、春になると
様々な生き物たちが冬眠から目覚め、活動を始めます。
樹々にも新緑が芽吹き、鳥たちが巣作りを始めますね。

果物の木も休眠から目覚め、葉が生い茂ります。
その後受粉作業が行われ、初夏には実がなりはじめます。

荒尾ジャンボ梨で有名な熊本県荒尾市
そこで梨農園を営む高塚さんの梨の木には
毎年たくさんの生き物たちがやってきます。

防虫のために農薬などの薬剤が欠かせない果物の木。
なぜこんなにも生き物たちが棲みついているのでしょうか。

荒尾梨の木は春を迎えると生き物たちが棲みつく

成生梨園でのカエル

高塚さんの農園には、春になるとたくさんの生き物がすみつきます。

遠くからでは見つけにくいのですが
梨の木の下に潜り、よく目を凝らして枝や葉を隈なく見ると
鳥の巣を発見します。

メジロ

巣には、小鳥の姿が。居心地が良さそうにしています。

夏になると、昆虫がたくさんやってきます。
クワガタやカマキリ、カエルの姿も見られます。

成生梨園にいるクワガタ

鳥や昆虫たちはみな、生き生きと梨の木で暮らしています。

荒尾梨の木にはなぜたくさんの生き物が棲みつくのか

カブトムシ

梨の栽培には、農薬が欠かせません。
農薬を使用しなければ虫が大発生し、梨の葉や実に食害を及ぼしたり
病気にかかったりするからです。

でも、高塚さんは農薬の使用を最小限に抑えて梨を栽培しています。
なので、生き物たちにとっては無害な環境なのです。

しかも、こんなにもたくさんの生き物が棲みついても
高塚さんの農園の梨は立派に成長してゆきます。

高塚成生の梨

虫たちが、梨を食べてしまうのではないか…?
そんな疑問もわくと思います。

実際に、葉には大量のアブラムシがわきます。

アブラムシ

しかし、そのアブラムシを狙って今度はテントウムシがやってきます。
テントウムシはここぞとばかりにアブラムシを食べていきます。

こうして自然とアブラムシはいなくなってゆきます。

虫が虫を食べてくれる。
高塚さんの農園には、一つの生態系が形作られているといえるでしょう。

高塚さんと梨の木

人の手が加えられずとも
こうして生き物たちの生命活動により、梨の木が生かされているんですね。

荒尾梨を作って35年。高塚さんの想い

高塚さんが農薬を抑えた梨の栽培をするきっかけは
アレルギー体質だった自身のお子さんがいたからでした。

農薬の健康被害が懸念されていた時代。
高塚さんは、子どもたちが安心して食べられる梨を作りたい
という想いのもと、農薬不使用の栽培を目指したのです。

しかし、農薬を使用せずに梨を育てるのはそう容易ではありませんでした。
何本もの梨の木を枯らしてしまったのです。

クヌギの葉を敷き詰める成生梨園

それでも、あの想いをなんとか実現させたい。
高塚さんは試行錯誤し、長い年月をかけて安心安全な梨を作ることに成功しました。

完全な農薬不使用はやはり難しかったのですが
最大限に抑えた梨の栽培を編み出しました。

しかし、2017年は農薬を一切使わずに梨を育てあげました。
高塚さんの夢がついに叶ったのです。

高塚成生と荒尾梨

鳥や小さな虫も生き生きと暮らせる。
そんな高塚さんの農園で育った梨は、安心安全だけでなく
糖度も非常に高く、美味しいと評判の梨です。